私が知りたかったのは、設備が止まってからのことではありませんでした。
音がいつもと違う。
動きが少しおかしい。
振動がいつもより大きい。
「設備の調子が悪かった」
という報告を受ける前に、何かできなかったのか。
そこを見ていました。
だから、設備の異変に気づいているのに、そのまま作業を続けている部下を見ると、当時の私はこう思っていました。
「気づいているなら、なぜ自分から動かないんだろう」
でも今振り返ると、少し違った見方もしています。
気づいていても、その次に何を見ればいいのか。
何を優先して考えればいいのか。
そこには、やはり経験が必要だったのかもしれません。
「あなたが現場の責任者だったら、どうする?」
私は部下に、よくこう問いかけていました。
「もし、あなたがこの現場の責任者だったら、どうする?」
すると、すぐに答えが返ってくるわけではありません。

「うーん……」
と黙ります。
何がポイントなのか。
何を先に考えればいいのか。
そこで初めて、自分なりに考えていたのだと思います。
私も、すぐには答えを言いませんでした。
まずは部下が自分の答えを出すまで待ちました。
そして答えが出てから、私はこう返していました。
「確かに、その考え方もあると思うよ。今の状況だと、こっちの方を先に考える必要があると思うよ」
状況によって、考え方は一つではありません。
私が伝えたかったのは「私と同じ答えを出せ」ということではなく、いろいろな考え方があることを知ってもらうことでした。
それは、言葉で教えるだけでは身につきません。
実際に考えて、答えを出して、また別の状況を経験する。
そうやって経験してもらうことを、私は大切にしていました。
では、その人は変わったのか
突然、変わったわけではありません。
「自分からどんどん動くようになった」
そんな分かりやすい変化ではありませんでした。
ただ、その部下は自分なりにQCを勉強していました。
私が問いかけると、勉強していることと、目の前で起きていることを合わせて考えている。
少しずつ、そんな感じがするようになってきました。
振り返ってみると、私がやっていたのは、答えを教えることではなかったのかもしれません。
「あなたが現場の責任者だったら、どうする?」
そう問いかけて、まず本人に考えてもらう。
すぐに答えを出さず、本人の答えが出てから、別の考え方も伝える。
それも結局は、考えるきっかけを作ることだったのだと思います。
私も最初は、工程表を見ても分からなかった
今では設備を見ながら、「いつもと違う」と感じることがあります。
でも、私も最初からできたわけではありません。
始めのころは、工程表を見てもよく分かりませんでした。
まず、名称が分かりません。
トラブルが起きて技術へ報告しようとしても、うまく説明することすらできなかったことがあります。
今振り返ると、そんなところからのスタートでした。
そこからは、分からないことを一つずつ覚えていきました。
先輩に聞きました。
トラブルが起きるたびに覚えました。
自分で設備を見て、工程表と実際の設備を照らし合わせました。
名称が分からなければ、マニュアルを見て覚えました。
それでも分からないことは、技術の人に徹底的に聞きました。
私は、分からないことを分からないままにしないようにしていました。
そうやって一つずつ経験していくうちに、以前は分からなかったことが、少しずつ見えるようになっていきました。
「指示待ち」という言葉だけで片づけない

当時の私は、その部下を見て、
「言われなければ動かない。いわゆるサラリーマンだ」
と思っていました。
「なぜ自分から動かないんだろう」
そんなふうにも思っていました。
でも今、自分が若かったころを振り返ってみると、少し見方が変わります。
私自身、最初は工程表を見ても分かりませんでした。
設備の名称さえ分からず、トラブルが起きても技術の人にうまく説明できませんでした。
そこから先輩に聞き、技術の人に聞き、マニュアルを見て、実際の設備を見て、トラブルも経験してきました。
そうやって少しずつ、見えるものが増えていきました。
だとすれば、あのとき部下に足りなかったものも、経験だったのかもしれません。
私も、そうやって覚えてきた
私も最初から、自分で考えて動いていたわけではありませんでした。
言われなければ動かない。
いわゆるサラリーマンだったと思います。
それでも、仕事を覚え、トラブルを経験し、分からないことを一つずつ聞いていくうちに、少しずつ自分で考えるようになりました。
QCを勉強するようになってからは、勉強したことと現場で起きていることを合わせて考えることも増えていきました。
突然変わったわけではありません。

当時の私は、どこかでそう思っていたのかもしれません。
でも、自分のことを振り返ってみても、そんなに簡単ではありませんでした。
私自身、言われなければ動かないところから始まりました。
先輩に聞き、技術の人に聞き、マニュアルを見て、トラブルも経験しました。
QCを勉強してからは、勉強したことと現場で起きていることを合わせて考えるようにもなりました。
そうやって少しずつ、自分で考えるようになっていったのだと思います。
だとすれば、私が部下にできたことも、答えを教えることだけではなかったのかもしれません。
考えるきっかけを作ること。
「あなたが現場の責任者だったら、どうする?」
あの問いかけも、その一つだったのだと思います。



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