【定年退職まであと49日】忙しいのに会いに来てくれる人がいる

定年後の暮らし

このところ、ランチに誘われることが増えた。しかも一人二人ではない。以前一緒に働いていた人たちからだ。

役職定年になってから、本部や支店にそれぞれ散って、前ほど顔を合わせなくなっていた。会社にいても会わない、というのはよくある話で、正直そういうものだと思っていた。ところが最近、定年が近いと知った人たちから「ランチでもどうですか」と声がかかるようになった。

先週は本部にいる元部下から連絡が来て、今週は支店にいる別の人から。それぞれ別の日に、別の店で。みんな今の仕事で手一杯なはずなのに、わざわざ時間を作って来てくれる。それが単純にありがたい。

ご縁は、離れても切れていなかった

役職定年を境に、それまで毎日顔を合わせていた人たちと自然に距離ができる。一緒に仕事を考えた人も、同じ目標を追いかけた人も、それぞれの持ち場に散っていく。それが普通だと思っていたし、寂しいとも特に思っていなかった。

でも今回、何人も向こうから会いに来てくれて、正直少し驚いた。距離は離れても、縁までは離れていなかったらしい。

話題は、いつのまにか健康の話に

最近のランチには、もう一つ共通点がある。だいたい途中から健康の話になる。

「体調どうですか」から始まって、気づけばお互いの持病自慢みたいになっている。「膝が」「血圧が」「去年ポリープが見つかって」——笑いながらそんな話をする。

昔だったら、こういう時間はもっと仕事の話で埋まっていたと思う。これからどうする、どう改善する、みたいな話ばかりしていた気がする。それが今は健康の話。歳を取ったということなんだろうけど、これはこれで悪くない時間だと思う。仕事だけの関係だったら、たぶんここまで体のことなんて気にかけてもらえない。

「寂しくなりますね」

一番心に残ったのは、皆さんふと漏らした「寂しくなりますね」という一言だった。

これまで定年退職のことは、ずっと自分側の話として考えていた。会社を離れる、生活が変わる、これからどうしよう、と。でもその一言を聞いて、これは自分だけの節目じゃないのかもしれない、と少し思った。一緒に働いた人たちにとっても、何かの区切りになっているのかもしれない。

会社生活で残るもの

長く会社にいれば、うまくいったこともいかなかったこともある。それでも退職を目前にして、こうして会いに来てくれる人がいる。役職も肩書きもいずれなくなるものだけど、こうやって残る縁もあるらしい。

会社員生活で何を得たのか、と聞かれたら、たぶん一番はここなんだと思う。仕事の成果より、人とのつながりの方が、案外長く残るのかもしれない。


忙しい中でも、「それでも会いたい」と思ってもらえる人がいる。これは今の自分にとって、ちょっとした宝物みたいなものだ。

これから始まる新しい日々でも、この縁は大事にしていきたいと思っている。

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