「走りながら考えるんですよ」という口癖【定年退職まであと56日】

定年までの記録

定年が近づくと、不思議と昔のことをよく思い出す。夢中で働いていた頃は気づかなかったことも、時間ができた今だからこそ意味が分かるようになった気がする。

今でも忘れられない言葉がある。創業者が社員によく掛けていた一言だ。

「走りながら考えるんですよ」

当時はただ「とにかく動け」という意味だと思っていた。でも今振り返ると、それだけじゃなかった。

営業として飛び込んだ日々

入社して配属されたのは営業だった。キャンペーンが始まると社内全体が一気に活気づいて、朝からみんな目標に向けて準備をし、それぞれのお客様のもとへ向かう。

そんな朝、創業者はいつも私たちを見渡しながら言っていた。

「四の五の言わずに、行ってらっしゃい」

その一言で、不思議と気持ちが切り替わった。もちろん不安がないわけじゃない。断られる日もあれば、思うような結果が出ない日もある。それでも会社全体が前を向いていた。あの頃の勢いは今でも鮮明に覚えている。

仕事は連想ゲームだと思うようになった

続けているうちに、一つの仕事が終わると自然と次が見えてくるようになった。「次はこれが必要になる」「この準備を今のうちにしておこう」。決まってから動く人と、次を考えながら動く人とでは、時間が経つほど差が開いていく。それを何度も目にしてきた。

失敗も、もちろんたくさんした。思い込みで動いてしまったこともある。それでも、無駄だったと思う失敗は不思議とない。知識は本から学べても、経験は動かなければ手に入らないものだった。

気づいたら、海外に5回行っていた

創業者の言葉を信じて、とにかく動いた。お客様のところへ足を運び、話を聞き、工夫を重ねる。その積み重ねが少しずつ成果につながって、結果として海外招待旅行に5回参加させてもらうことになった。

もちろん一人の力じゃない。一緒に頑張った仲間、支えてくれた上司、お客様とのご縁があった。今思うのは、旅行に行けたことよりも、そこへ至るまでの経験の方が財産だったということだ。


会社という舞台があったから、多くのことに挑戦できた。成功も失敗も含めて、仕事を通して育ててもらった。当たり前だと思っていた環境に、今は感謝しかない。

「走りながら考えるんですよ」——あの言葉は、仕事だけじゃなく、生き方そのものを教えてくれていたんだと思う。今でも新しいことに出会うたび、心の中でこの言葉を思い出す。

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